2008年07月31日

あごで左右される背骨

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まずはこんな動作をしてみて下さい

床に三角座りの体勢で膝の上5センチほどにボールを捧げ持って
座骨のみで座ることで足の裏を床から徐々に浮かし
骨盤を後傾させていきソヘを突き出します



アゴには人間の体をコントロールする、ハンドルのような役目があります。

アゴを引けば、背中の筋肉が動かしやすくなるのです。
だから例えばボールの上に上半身を置いてするような動作の時には
あごのもたらす効果を意識しながら動作をしなければなりません。

ボールを捧げ持ってアゴを引いているので、背中が丸まらないと
この姿勢は取れません。


つまりあごを突き出すクセのある人には
この動作をする事が出来ないのです。

ということは
そへを出すためにはあごを引かないとそれが出来ない、
つまり声を出すためにはソヘを使うことが必要なので
あごを突き出していては効率的に声を出すことは出来ない

ということが言えるでしょう。

生徒さんの中にどうしても声を出し始めるとあごが前に突き出る
クセの人が居ます。
何度か手段を講じましたがいつまでも治らないので
これを思い出して、早速動作をしながら声を出して頂きました。

もちろんこの動作を取ることに対してどういう効果があるか
について話をしないと、それが出来たからとそのまま普通に
発声練習をしても多分何も得る物はありません。

この方にはまずは床に座って膝を立てた姿勢で、
ソヘの辺りを触ったままであごを引く、突き出す
という動作をして背中の筋肉の変化がどうなるのか
理解して頂きます。

ボールを捧げ持った姿勢のままで、あごを突き出して下さいと
指示をだしました。

この人は途端に身体全体が固まってしまって、この動作をする事は
不能になりました。
そういうことを理解して発声をしてもらうと、普通の状態に戻っても
先ほどの苦しさを思い出して気をつけるようになるのです。

ちなみに
この動作を取るのは骨盤を後傾させてソヘを出すと
声が出やすいということを感じるためです。

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あごの柔軟性再考

暑い毎日ですね

途中で声が詰まりませんか



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2008年07月27日

舌を出して

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ボイストレーニングをやっていて舌で困った事のない人は
とてもラッキーだと思います。
実は私も学生時代に舌の力が抜けずに
2年ほど困っていたことがあったのです。

どうもその原因は「歌うこと」がとても特別の行為であると
思いこむことに端を発するようです。
「歌うこと」はものすごく「頑張ること」で大きな声ではっきりと
マジメに歌わなくてはならないと思うのですね。
こう書いている私でさえついこの前まで
気がついたらやっていたことがありましたから。

実はその逆で薄ら笑いを浮かべてすとんと抜けた喉周りが
必須条件なのです。
全身ぬけてしまっては歌にはなりません。
張る所は張る、抜く所は抜くのです。

このバランスとその感覚を掴むことがどんなに困難か、
少しでも歌を歌ってみた人にはよくおわかりでしょう。

喉を開けようで触れた顎舌骨筋について話を進めましょう。

少し触れていますが、舌の状態を知るにはここを触ってみるのが
一番手っ取り早い方法でしょう。
触ったままで舌を下の歯より前にあかんべーの状態で出します。
もちろん先に力を入れては顎舌骨筋が堅くなりますから
舌をなだめつつ力を抜くことを心がけて下さい。

舌の裏側に下あごと舌を繋ぐ筋状のものがあるのをご存じですね?
そこに力を入れすぎて堅くしていませんか?
または喉の奥の舌の根本を堅くしている場合もありますので
よく自分を観察してみましょう。

かまぼこの様に中央が盛り上がったふっくらした舌が出ましたか?
その舌に向かって発声してみてください。
顎舌骨筋が柔らかく舌の形も変わらなければ舌が吐く息で暖かいのを
観察することが出来るし、とても焦点のあった声が出ていることを
わかって頂けるかと思います。
それと同時に上の前歯の裏、つまり硬口蓋の辺りも同じように
暖かいのを観察出来るはずですが?

舌と硬口蓋に息が当たる
この感覚が母音の決め手になるのです。
特に「I」の母音はこの2点が条件なのです。
そのままの状態で「I」を発音出来ることを確かめましょう。
声が奥に引っ込む人は特にこれに注意をされると
確実に声が前に当たるでしょう。

硬口蓋に当たっている息に注目しながら、意識をそのまま上あごを
奥の方に辿っていきましょう。
軟口蓋が下がっているのがおわかりですか?
いや!それすらも認識していない人も居られると思います。

上の奥歯と共に喉の奥の天井を少し引き上げてみて下さい。
そこが軟口蓋で喉の突き当たりを上に行くと鼻の裏になるのです。
出している声が軟口蓋を上げることで深くクリアになったのを
きっと感じると思いますよ。

何よりも軟口蓋が上がっていないと高音域が使えません。
高い声が出ないと悩んでいる人は要チェックですね。


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2008年07月25日

横隔膜を下げる

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バランスボールを使ったボイストレーニングを続けています。
そして私はそのネタ集めのためにジムのバランスボールのスタジオに
可能な限り出ています。

毎回するトレーニングに、ボールに座って基本姿勢を取って
両手を横に広げてそれを頭上高く上げるというものがあります。

当然ジムではきちんとした姿勢を作るためにそれをトレーニング
している訳ですが、私はそれ以外の用途のために同じ事をしています。
初めは全くそれに気がつきませんでした。
なぜならそれをボイストレーニングに使えるとは思わなかったからです。

両手を横に広げてそれを頭上高く上げる
この動作はつまり横隔膜を下げて肺の面積を広げる事が出来るのです。
まん丸お月さんを参照して下さい。
丁度これをやってるのと同じなことに気がついたのです。

ジムのスタジオでもその姿勢を保持しろという事なのですが、
インストラクターさんは果たして意識して言わないのかどうか・・・
でも歌うためにはこれは必須の条件な訳です。

その為に私も毎回レッスンの度にまずこの動作を実施します。
必ず「横隔膜が下がったというこの感覚を覚えて下さい
と付け加えます。
必ず言うことで生徒さんにはこれはとても重要なことだ
という意識を植え付けます。
10回もそれが続けば嫌でも感覚は身に付くようです。

最近は発声だけをしてもらってる最中に「横隔膜を下げる!」と
一声掛けると途端にみぞおちとおへその間隔が空きます。
この姿勢を保持するためにはお尻の筋肉や腹横筋内転筋が関与します。

一声掛けるだけで自動的に補正が出来るなんて
まるで魔法じゃありませんか!笑


ラベル:横隔膜
posted by キミコ at 23:50| Comment(0) | TrackBack(0) | バランスボール関連 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月22日

音楽の垣根?

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CDやDVDが発達したり、動画が配信されるようになったりで
音楽の世界も随分広がりましたね。

今日は声楽の生徒さんとしばし話をしていました。
私が若い頃は声楽をやっているのにポピュラーな曲を
レッスンで持ってくるなんてとんでもない時代でした。
堅い先生ならその場で破門だし、そんなことを考えることも
ありませんでした。

でも最近は違いますね。
歌謡曲の舞台にクラシック歌手が出場したり、クラシックコンサートに
他の色んなジャンルの人が出演したり。

映画でもそうです。
つい最近公開された「奇跡のシンフォニー」を見ましたが、
ロックとクラシックとストリートミュージックが並立していました。
一昔前ならあまり考えられない事だったと思います。

ワールドワイドに色んなジャンルも交流がさかんなのです。
毛嫌いや先入観を持たず耳を慣らして、出来れば色んなジャンルの
曲を歌って欲しいと思うのです。
西洋音楽以外の音楽も耳にして頂きたいとも思うのです。

この声楽の生徒さんにも「スタンダードポップス」を
クラシック歌曲と共に歌ってもらっています。
聞き慣れないメロディラインに如何に自分の歌い方や声を合わせるか
こんなにわくわくすることはないでしょう。

かつてのヨーロッパでは教会音楽と世俗音楽が
交わることなく存在していました。
何百年も掛けて徐々にお互いの旋律を使い、やがて新しい世界に
突入していきました。

そんな歴史を見ているとまたそんな事が将来始まるんだなと
何だかわくわくしてくるのです。


posted by キミコ at 23:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月16日

同じ事をやっていても・・・

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毎回レッスンでは違うことをやってはいますが、別に飛び抜けて
違うことはしていません。
必ず関連性のあることを前回に引き続いてやっているのです。
でも突然何かに意識が行ってしまっていつもと同じ事が
全く違う意味を持つことがあります。
実は私はそれを狙っているのですが、気づかない人は気づかず
レッスンが過ぎていくのです。
(それは私にとっても同じですけれど)

昨日来た生徒さんにはバランスボールを使いながら
色んな筋トレをして腹横筋に対する意識を持ってもらうことに
重点を置きました。
前にも書きましたが、有るポーズを取ったとして、それを
沈黙のうちにするのと声を出しながらするのでは
筋肉の存在感が全く違うのです。

特に腹横筋は声を出すとどれだけ自分の存在を主張し出すことか!

たっぷりと感覚を掴んでもらってからいわゆる
「発声練習」をするのですが、突然この人は
「先生!おへそが出ないんですねえ」といわれたのです。

それこそ1年以上同じ事をやっていて何で今更!と思いましたが、
この人にとってはそれが大発見だったのですね。

ちなみに皆さんもポーズを取って頂いたらわかりますが、
おへそを突き出すようにしていてはお尻を使う事を併用してでの
腹横筋の効率的な動きは出来ません。
いや、不可能ではないのですがものすごく苦痛ですよ。

やはり身体を使って実際に動いてみてでないと
理解出来ることは少ないのです。
posted by キミコ at 23:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 内的感覚 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月12日

喉を開けよう

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いつまでも堅い声を出す人が居ます。
なかなか軟口蓋を上げるという事が出来ません。
単に大きな声を出すとそれで良いと無意識に考えているのかも知れません。

「I」行(イ)の発音は日本語では下あごを上げて発音します。
当然歯と歯の間は閉じられたままです。
つまり上下のあごは著しく接近します。これでは声は響きません。
舌は母音の中では一番盛り上がった形になります。
益々「I」は響かない平坦な音にしかなりません。

下の歯に舌の先をつけて少し下方に押しつけるようにします。
つまり下の歯がなければ舌を出したような状態になります。
奥歯の上下は軟口蓋を上げた高さに合わせて開けます。
息は上の前歯の裏、つまり硬口蓋に当てるようにします。

と書いてすんなり「I」の発音が出来るなら嬉しいのですが
きっと難しいと思います。
まるで「E」のようにしか自分には聞こえないかも知れません。

私と一緒に練習してさえ会得するのは大変です。
音として「I」を掴んでもらえれば少々上下の歯が仲良くしても
差し支えはないのですが、開口母音として「A」や「E」と
同じ口の中の面積を保って舌の位置を変えることで得られるということを
しっかり身につけて欲しいからこそ面倒でもやっているのですが。

さて、冒頭に書いたこの人は特に「I」が困難を極めます。
軟口蓋を上げることが理解出来ないから当然なのですが・・・

今日は写真に解剖図を出しています。
赤い丸が見えますか?「顎舌骨筋」と書いてありますが、
顔の前面のあごの一番尖った所の裏側に親指を差し込みます。
口を開けて舌に力を入れずにべろんと出してみて下さい。
顎舌骨筋は柔らかくなりましたか?
「I」以外の母音は余程喉を絞めない限り顎舌骨筋は
堅くならないはずです。

その柔らかさをキープしたまま前述の「I」の発音のように
舌の位置を変えてみて下さい。

この人は大きな声の方に重きを置いていたので顎舌骨筋が堅くて
堅い声しか出せなかったのです。

アドバイスは色々な方向からその人にフィットした物を選んで
時と場合を重視しながら声を掛けるようにしています。
さあこの言い方で次回は少しは良くなってくれるんでしょうか。
とても楽しみです。

関連記事

「I」の練習
「I」の練習続き
母音体操





posted by キミコ at 23:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 身体・筋肉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月08日

たまにでもいいから・・・

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レッスンでは筋トレをしていて、その上に母音練習や子音練習も加えて
歌の実践練習もしたりとかでとにかく練習時間が短く感じられる内容です。

初めの頃こそ子音練習のために早口言葉を練習したりもしますが、
メニューが多くてとても手が回るものではありません。
特に子音練習に入った位の段階では早口言葉が手に負えるような人が居ないのです。
子音の音を覚えて正確にあごをおろし、尚かつ横隔膜も下ろしたままで
身体も保持するのにあっぷあっぷだというのに、そこにハイペース
ハイスピードでの早口言葉はまず無理なのです。
急ぐ余りにまさに舌を噛んでいる状態になるのが関の山でしょう。

それでも実施するのは難しさを体感して頂くためでもあります。
何ヶ月か経過した辺りで思い出したようにやって頂くのですが
それなりに形が整っていっているのが興味深いです。

かなり歌唱経験のある生徒さんも初めの頃にやって頂きましたが
息が上がってしまう始末でした。
でも横隔膜の保持が出来るにしたがって段々それらしくなってきます。

特に早口言葉を勧めるのは理由があるのです。
日本語の持つ言葉のリズム感を感じるには恰好のテキストだからです。

たとえば
すももも桃も もう熟れたから もう売れよう

音の高低強弱もなくだらだらと早いだけでは日本語として聞き取れません。
日本語には大抵子音に母音がついてくる言語ですから
脈絡無く棒読みをしたら言葉の命が失われてしまうのです。

欧米圏の言語のように何重にも子音がついたり語尾が子音だけ
という事がありませんから、リズムが単調になってしまいます。
音符で言えば四分音符がダラダラとどこまでも続いてしまうので、
音の高低とアクセントで区切るしかないのです。

それでもメロディのフレージングと一致すれば申し分のない歌になりますが
そうも行かないのは仕方ありません。
訳詞など特に言語が違うので一致することなど考えない方が良い位です。
(歌詞がもっちゃりして歌っていて恥ずかしくなるような時があります)
でも新しいフレージングが生まれる場合もあるので、案外新鮮な
感じがすることもありますけれど。

何度か試してもらってスピードがついた所で赤く表示された箇所で
声を出しながら手を打って読んでみて下さい。
は「お」行ですから
はっきり意識してあごの関節を下げて読んで下さいね。

ももも もも れたから れよう

どの早口言葉にもその文章それぞれに手を打つ箇所があるのですが
それをはっきり理解出来る出来ないでは、歌唱にどれだけ影響してくることか!

こんな積み重ねが言葉を歯切れ良く聞かせる訓練になるのです。
だから発声練習を何ヶ月かやってみて、たまにチャレンジして頂きたいものです。

posted by キミコ at 22:55| Comment(4) | TrackBack(0) | 早口言葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月01日

身の引き締まる思い

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レッスンでは色々なことを練習するので、無駄話をしている時間が
まず殆どありません。
でも帰り際にちらりと漏らされる生徒さんの一言で
とても嬉しい気持ちにさせて頂けることがあります。

全員が必ず言ってくれるのがとても耳が肥えてきたということです。
そりゃあ何も知らない状態からある程度声が出せるようになる訳ですし、
聞き分けができないと上達はあり得ませんからね。

となると、人の声も聞き分けられて、関心を持てるようになる、
そうするとより一層理解が深まって自分の声を考えるチャンスになるのです。
「人の振り見て我が振り直せ」とはこのことでしょう。

次は「声は喉から出すのではない」ということが
本当にわかったといわれることです。
だからこそ面倒でもストレッチから始めて筋トレをこなして
それと声の関連性を身に染みさせるのですから。
自分と仲良くしないと声を出せるものではない事を理解してこその
発言でしょう。

自分の身体と付き合うことで健康とも向き合えて有り難いとも
良くいわれます。
自分が楽器なのですからメンテナンスが欠かせないこともわかっての
発言になるのです。

「こんな年になってるのに以前よりまだ声が良く出るようになった」と
嬉しいことを言って下さって今年もコンクールを狙う
熟年の方もいらっしゃいます。

ある方は自分のバンドの中でブログを書いておられて、
私も良くそれを読ませて頂いているのですが、今回こんな事を
書いておられました。
許可を得て一部抜粋させて頂きますね。


今まで、見えなかったものが

鮮明に見え

今まで聞こえなかったものが

耳につくようになった。

不思議だけど

基本がどれだけ大切かという事を

今更ながらひしひしと感じている

中略

ひたすら

音(声)に耳を澄ませる

足のつま先から頭のてっぺんまでの

全てのパーツを

音(声)や楽器(体)に問い掛けながら調整していかなければらない。
またそれが楽しい

自分が

広がる

広がっていく

そんな感触




これを読ませて頂いてはっとしました。

私も同じように感じていた時期があったんです。
自分探しをする楽しさや、毎日感じるわくわくした感覚を。

私のかつて感じていたことを追体験してもらえているということは
正しくこの方に伝わってるなと!

この仕事をしてよかったと思った事でした。


posted by キミコ at 22:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする